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busy_old_fool’s blog

将来は富山に住みたいものです。

翻訳:'The Imperfect Enjoyment' by John Wilmot, Second Earl of Rochester (18歳未満立ち入り禁止)

注意:18歳未満立ち入り禁止

とは言え中身は至ってまじめな翻訳です。

 

 

未完の楽しみ*1

 

第二代ロチェスター伯ジョン・ウィルモット

 

 

 裸の彼女は、恋い焦がれる私の腕の中で眠り

私は愛に満たされ、彼女はすべが魅力に満ちている。

二人は等しく焦がれる思いの炎にあおり立てられ

愛情の中に溶け、欲望の中に燃える*2

抱きしめようとして腕と脚、唇をぴったりと重ね

彼女は私をその胸に抱きしめ、その顔へと吸い寄せる。

愛の劣った稲光が、彼女の素早い舌が

私の口の中で戯れて、私の考えに

すべてを解き放つ稲妻を下へと投げつける覚悟を

決めよとの命を速やかに下した。

私の羽ばたく魂は、鋭いキスとともに飛び立ち

彼女の芳しい至福の頂の上を舞う。

だが、彼女のせわしない手があの場所、あの、私の魂を

彼女の心まで運ぶはずの場所を導いているのに、

私は全身が液体のような歓喜*3に溶け

精液となってゆき、すべての穴でいってしまう。

彼女の体のどこが触っていようとそうなっただろう。

彼女の手、彼女の脚、彼女の顔貌がまさに膣*4なのだ。

 微笑みながら、彼女は優しく小言を言う声で𠮟り*5

彼女の体から、冷たくねっとりとした歓びをぬぐう。

その時彼女は、私の喘いでいる胸に幾千の

キスをしながら叫ぶのだ。「ねえ、もうこれ以上はないの?

このことすべては愛と歓喜が受けるべき報酬よ。

快楽にも酬いなけれいけないんじゃない?」

 だが私は、生きたまま破滅した最もみじめな男で

彼女が望んだ私の恭順を示して甲斐なく励むばかりであった。

私は「ああ!」とため息をつき、キスをすれど、挿れる*6ことができない。

激しい欲望が私の初めの意思をまごつかせ

それに続く羞恥がさらに成功を遠ざけ

最期には怒りが私の不能が確かなものとしてしまう*7

彼女の美しい手でさえ、あつい熱を氷河期に

帰らせて、冷静な隠修士を燃え上がらせると言えども、

私のように死んだ燃えさしを温めることは、灰に火をつけても

過去の炎が戻らぬように、もはやないことであった。

震え、混乱し、絶望し、弱弱しく、不毛のまま

望むばかりで弱い、動くことのない塊になり私は横たわっている。

この愛の矢は、鋭い先端を何度も試されてきて、

処女の血で千万もの乙女を染めてきた。

そして、自然が精緻な技巧をもってずっと導いたため

貫いたすべての膣からすべての心へと届いたのだったーー

堅く決意を固め、男であれ女であれ、その怒りが泊まった

どんなものであれぞんざいに犯してきた。

どこを貫こうが、そこに膣を見出し、作り上げたのだ*8ーー

今やこの不幸な時にあり、弱弱しく

しぼんだ花のように萎び、縮まっている。

 この不忠な、いやしくも私の恋人を捨てた逃亡者、

私の情熱に対して不実で、私の名誉に破滅をもたらした奴め*9

いったいどんな幻術に過ちへと嵌められ、みだらのものに忠実で

愛に不忠*10になったのか。

いったいどんなカキ売り女や掃除女、乞食女みたいな卑しい売女*11

期待を裏切るようなことが今までお前にあっただろうか*12

悪徳、疾病、醜聞が露払いをするとき

お前は何と忠実に急いでついていくことか!

まるで無礼な、喚きまわる通りのごろつき*13のように

遭う人すべてを掴んで殴り、喧嘩するくせに、

もし彼の王や郷土が上納金を払えというものなら

放縦な悪党は怯んで頭を隠す。

ちょうどそのようにお前の蛮勇も露呈してしまった。

あらゆる売春宿に押し入り、若い娼婦をみんな犯そうとも、

偉大な愛が攻撃を命じると、お前は主君に対する卑しい

裏切り者となって、耐えようとすることだにない*14

私の体の最悪の、だからこそ最も忌み嫌われている部位で、

町中で有名なヤリまくってるチンコで、

まるでブタが戸口に花をこすってブヒブヒいうように

娼婦はみな、それで膣のゾクゾク感を和らいでもらっている。

そんなお前は餓えた下疳の餌食になってしまえ。

さもなくば、貪るような滲出液にまみれて弱っていけ。

排尿の痛みと結石に日日苦しめ。

私のすべての楽しみが不実なお前に懸かっている時

いくのを拒んだお前なんか、一生小便が出来なければいい。

 そして千万ものやれるチンコが、お前の代わりに

 不当に扱われたコリンナによくしてやりますように*15

 

原文

 

www.poetryfoundation.org

CAUTION: THE LINK ABOVE IS HIGHLY NSFW

 

参考

 

busy-old-fool.hatenablog.com

 

<註>

*1:このジャンルの詩('Imperfect Enjoyment' poems)は男の「プライド」の失墜-尊大な自尊心だけでなく、勃起-を扱うもので、源流はオウィディウスの『アモーレス』3巻7歌に発する。

*2:男性視点から書かれているものの、ここからはセックスにおける男女の関係が平等であるように感じられる。Aphra Behnのレイプから始まる'The Disappointment'と好対照。

*3:原文ではrapture。この語は神学的な意味も持ち、人間を天国に昇天させることをいう。12行目のbliss、14行目のsoulとともに宗教的なメタファーが用いられていることにも注目したい。そしてraptureとpleasureは23-4行目を読むと明確に区別されていることがわかる。

*4:初出の1680年版(翻訳もこれに依拠)ではcuntなのだが、以後はさすがに検閲が入っており、伏字にされてたりしていたりもした。この詩の他の性的表現も同様に、伏字にされたり表現を大きく変えられていた。また、あまり下品になるためマ〇コという語の使用を避けたが、英語でcuntというと非常に下品なインパクトがある。

*5:ここから動詞の時制が過去から現在に変化している。

*6:原文ではswive。OEDによると'To have sexual connexion with, copulate with'とある。今のfuckに当たる語感を持っていただろう。

*7:以上三行が三行連句(triplet)をなす。全体は二行連句(couplet)で書かれている。

*8:以上三行が三行連句(triplet)をなす。

*9:ここからpoet personaは突如に自分のペニスをののしり始める。自らのペニスを擬人化し、勃起不全の責任は自分にはないと言っている点は、彼がself-controllを失っていることを示唆するように思われる。

*10:ここで彼はまるで自分は愛に忠実であるかのように自分のペニスをののしっているが、当然それには疑問符が付く。

*11:道端でカキ(イギリスでは庶民の食べ物)を売っていたoyster wifeや道端を掃除したcinder wenchを踏まえている。彼女らは当然身分が低かった。

*12:愛していない女に対しては射精することができた。翻って、愛するCorinnaに対しては愛しているから勃起不全になってしまう、と言うこと。

*13:原文ではhector。ギリシア神話の英雄ヘクトルに由来する。脱線するがヘクトルの名誉のために言っておくと、彼は『イリアス』においてイリオスの城を守るべく勇猛に戦うトロイア勢の総大将であるだけでなく、息子、妻、老いた父王のことを案じる心優しい人物であったため、この英単語の意味は全く当たらない。

*14:54行目からここ61行目までの比喩はepic simile的に(すなわちギリシア叙事詩に見られる、長い比喩の影響を受けているように)に感じられる。

*15:この発言は当然、彼のコリンナへの愛に大きな疑問符をつけるものである。また、セックスにおいて男が女を満足させるものであるという授受関係が示唆されている、とも読めるだろう。